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牛上隆司のLet’s吹奏楽

〈ベッソン〉ブランド公式ウェブサイト日本版特別企画として、2022年4月より、バンド指導者として全国的に活躍されているユーフォニアム奏者、牛上隆司氏による連載「Let’s 吹奏楽」を、全12回の予定でお届けします。


Vol.1 「セレナータ」ヤン・ヴァンデルロースト初のユーフォニアム独奏曲をお披露目!

皆さんこんにちは。ユーフォニアム奏者の牛上隆司です。

今回からLet’s 吹奏楽と題して、吹奏楽にまつわるお話を綴って行きたいと思います。

今回は、先日 定期演奏会にゲスト出演させて頂いた2つの高校とそのコンサートについてのお話です。

3月11日(金)に 龍谷高等学校(佐賀県)、3月15日(火)に おかやま山陽高等学校(岡山県)のそれぞれ定期演奏会にゲスト出演させて頂きました。
両校の顧問の先生とは、大変長いお付き合いで、最初にお会いした時、龍谷高校の月光先生は中学生、おかやま山陽高校の松本先生は大学生でした。
月光先生は、中学3年生でサクソフォーンを吹いていて、部活動の核になる、とても頼りになる男でした。
松本先生は、指導に行った中学校の顧問の先生の後輩にあたり、当時大学生でしたが、既に優秀な指導者でした。

その後のお話は長くなってしまうので割愛しますが、お二人とも佐賀県・岡山県を代表する優秀な指導者になられていると思います。

両校にレッスンに行く際に感じるのは、お二人とも音楽的にも指導者としても様々な面で優秀であるにも関わらず、周りの意見に耳を傾ける謙虚な姿勢を持っている事です。かなり完成度の高い演奏が出来ていても、他の可能性を感じればトライしてみようとします。それって凄い事です。

コンサートの演奏や演出でも、お客様を楽しませるためにトコトン追求して完成度を上げていました。どちらも2日前から本番のホールでリハーサルという贅沢な練習でしたが、先生のビジョンが生徒さん達にしっかり伝わるまで、一杯いっぱいまで練習していました。


写真上:おかやま山陽高校の定期演奏会でヤン・ヴァンデルロースト委嘱作品「ユーフォニアムと吹奏楽のためのセレナータ」を演奏する牛上氏、写真下:龍谷高等学校のリハーサルで同作品を演奏をする牛上氏

僕は、兼ねてから親交のあるベルギーの作曲家、ヤン・ヴァンデルローストさんに「ユーフォニアムと吹奏楽のためのセレナータ」という作品を書き下ろして頂き、両校の定期演奏会でお披露目する機会を頂きました。
僕としては、ヴァンデルローストさんにとって初めてとなるユーフォニアム独奏曲をお披露目する機会を頂き、両先生をはじめ関係者の皆様に大変感謝しております。

ヤン・ヴァンデルローストさんは、多作で有名なベルギーの作曲家です。「アルセナール」や「ヘリオス」(ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウの委嘱作品)などのコンサート・マーチや、交響詩「モンタニャールの詩」(アルプス山脈の麓に住む人々の歴史や文化をテーマにした作品で、ウインドマシーンを使った壮大な自然現象を表現したり、リコーダーを使い後にトゥッティで一大スペクタクルなルネサンス舞曲が登場します)、「いにしえの時から」(元々はブラスバンド作品の大作でヴィヴィッド・ブラス・トーキョウも過去に演奏。また龍谷高校が初めて県代表を獲得した時に自由曲として演奏した作品)など枚挙にいとまがありません。

ヴァンデルローストさんとは、2003年にヴィヴィッド・ブラス・トーキョウのコンサートで、客演指揮者をお願いするにあたり、2002年から交渉役を仰せつかったため、お付き合いが始まりました。その後、彼の作品である「オブセッションズ」(金管楽器用独奏曲)をCDに収録するなどし、ご本人に演奏(録音)を聴いて頂く機会がありました。

2003年のヴィヴィッド・ブラス・トーキョウの公演のチラシ(写真左)、ヴァンデルロースト氏の作品が収録された牛上氏のアルバム「オブセッションズ」(写真右)

彼は来日機会も多く、私の指導している小編成の公立中学校の吹奏楽部でも喜んで指導して下さったり、ご一緒出来る機会がありました。
事ある毎に、ヤン・ヴァンデルローストのユーフォニアム独奏曲が無い事が残念でならないとお話し、書いて貰えないかと説得を続けましたが、忙しいから時間が掛かるなど、なかなか受け入れて貰えませんでした。2020年に、とある用事で連絡を取った際に、もう一度ユーフォニアム独奏曲のお願いをしたところ「どうしてもと言うなら出来なくは無い」とのお返事を頂き、「是非、書いて欲しい」とお願いする事が出来ました。でも、これには共演者が必要です。そこで今回の2校の顧問の先生たちにお話したところ、ご快諾頂きコンサートでの共演が実現した次第です。2002年に初めてお会いしてから、実に20年の年月を要しました。

このセレナータは、セレナードのイタリア語ですが、ミステリアスで魅力的なメロディーとルネサンス様式の舞曲を組み合わせた、ヴァンデルローストさん独特のスタイルの作品です。また、オーケストラ(吹奏楽)は、ただの伴奏では無くソリストの重要なパートナーとして対話しながら、共にエキサイティングで壮大なフィナーレを迎えます。
ユーフォニアム独奏のグレード6
吹奏楽のグレード4 1/2

今後、ブラスバンド版やピアノ版の伴奏も作られるそうで、プロフェッショナルなプレイヤーをはじめ、音大生や上級アマチュアの方達にも挑戦してみて頂きたいレパートリーとなりました。
また、ソロ・コンクールや音楽大学での実技試験などでも演奏される事を期待しています。

ここまで長くなってしまいましたので、龍谷高校・おかやま山陽高校のコンサート・レポートを絡めて、コンサートを成功させるコツやバンドレヴェルの向上のポイントなど、吹奏楽や楽器にまつわるお話を次回以降に続けて行きたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。では、また次回、

Let’s 吹奏楽!

牛上隆司

※ 牛上隆司氏への指導および出演依頼は、最寄りの〈ベッソン〉公認特約店、またはビュッフェ・クランポン・ジャパン ショールームへご用命ください。
※ 牛上隆司氏の経歴と現在の活動はプロフィール、およびインタビュー記事でご確認いただけます。
※ 牛上隆司氏に関する最新情報はFacebookでご覧ください。

牛上隆司のLet’s 吹奏楽
Vol.1 「セレナータ」ヤン・ヴァンデルロースト初のユーフォニアム独奏曲をお披露目!(現在閲覧中のページ)
Vol.2 コンサートを成功させるには
Vol.3 演奏のクオリティを上げるための9つのポイント

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